張り子のお面の作り方 粘土で型を作り、紙を張り重ねて外す手順の写真

張り子のお面の作り方 粘土で型を作り、紙を張り重ねて外す手順

張り子のお面は、粘土で顔の型を作り、ラップで覆ってから、手でちぎった紙を糊で5〜8層ほど張り重ね、乾いたら型から外して作ります。外したお面に白い下地を塗って彩色すれば完成です。型さえ作れば、あとの工程は単純です。ただし時間はかかります。乾かす日数を惜しむと、型から外した途端にお面がゆがんだり、しばらくして内側にカビが出たりします。

保育園や家庭の工作では、型の代わりにふくらませた風船を使う方法も知られています。ただ、風船は顔より丸く、額や鼻、顎の形を作れません。お面らしい顔にしたいなら、粘土で型を作るほうが確実です。風船を使う簡易な方法は、最後に一節だけ紹介します。

張り子の面の例(仮面屋おもてで扱った作家の作品)張り子の面の例(仮面屋おもてで扱った作家の作品)
張り子の面の例(仮面屋おもてで扱った作家の作品)。

張り子はどういう作り方か

張り子は、型に紙を何枚も張り重ね、乾いてから中の型を抜き取って作る細工物です。中は空洞なので、見た目のわりに軽く仕上がります。

代表的なのは、土や木、粘土で作った型に紙を張り、乾いてから刃物で切り込みを入れて型を外す方法です。福岡市博物館が紹介する博多張子の工程では、土や木の型に新聞紙と和紙を小麦粉糊で張り重ね、天日で十分に乾かしてから、切り込みを入れてヘラで型から外します。千葉の房総張子の工房は、石のように硬くなる粘土や紙粘土で型を作り、でんぷん糊で桑ちり紙や新聞紙を張り、太陽と風で乾かしてから、型に刃物を入れ、竹べらで浮かしながら型を抜いています。

お面も、昔から張り子で作られてきました。福島県の三春張子は、元禄年間に三春藩の藩士が仙台の堤人形の技法を取り入れ、和紙で面や人形を作り始めたのが始まりとされています。

家庭でお面を作るなら、粘土で顔の型を作る方法が向いています。お面は裏側が開いているので、人形のように型を閉じ込めることがなく、乾いたら型から持ち上げて外すだけで済みます。

用意するもの

  • 型にする粘土:油粘土(固まらないので、型から外したあと丸めて何度でも使えます)。固まる紙粘土でも作れます
  • 型を載せる板(まな板や厚紙など)
  • 食品用のラップ
  • 新聞紙
  • 白い紙(半紙、障子紙など)
  • 糊:でんぷん糊を水で溶いたもの、または木工用ボンドを水で2倍ほどに薄めたもの
  • 糊を溶く器と刷毛
  • 粘土べら、はさみ、カッター、穴あけパンチ
  • 下地用の胡粉、または白の下地剤(ジェッソ)
  • アクリル絵の具、紙やすり
  • ゴムひもか紐

粘土の量は、顔の大きさのお面の型で、油粘土が1〜2kgほどあると余裕を持って作れます。型の中を丸めた新聞紙で埋めてから表面だけ粘土で覆うと、粘土が少なくて済み、型も軽くなります。

糊は、ぽってりした生クリームくらいの濃さが扱いやすいです。薄すぎると紙がはがれやすく、濃すぎると厚みのむらが出ます。

粘土で型を作る

  1. 板の上に粘土を盛り、顔の大きさの山を作ります。高さは、額から顎までの顔の奥行きを目安にします。
  2. 額、鼻、頬、顎の順に、大きな起伏から形を作ります。張り子は紙を重ねるぶん細かい線がつぶれるので、しわや細い眉のような細部は彫り込まず、丸みのある大きな形で作ります。
  3. 目や口は、あとで穴を開ける位置がわかるように浅くへこませておく程度にします。
  4. 型の縁は、顔の輪郭より2〜3cm広く作ります。この余白が、あとで切りそろえるときの取りしろになります。
  5. 形ができたら、型全体をラップで覆います。ラップは引っぱりすぎず、表面に沿わせて押さえます。ラップが紙と粘土の間に入ることで、乾いたあとに型から外しやすくなり、粘土も汚れずに再利用できます。

鼻が高く突き出た形や、奥に入り込んだくぼみは、紙を張ったあとに型から外れにくくなります。初めて作るときは、全体をなだらかな起伏にしておくと失敗がありません。

紙を張り重ねる

  1. 紙を手でちぎります。新聞紙も白い紙も、3〜5cm角ほどの大きさにします。はさみで切ると縁がまっすぐになり、重ねたときに段差が目立ちます。手でちぎった毛羽立った縁は、隣の紙となじんで継ぎ目が消えます。
  2. 1層目は、白い紙を水だけで濡らして張ります。糊を使わないこの層がはがし紙の役目をして、あとで型から外しやすくなります。
  3. 2層目から、糊を付けた新聞紙を張っていきます。紙の半分ほどを前の紙に重ね、刷毛で上から押さえて空気を抜きます。鼻の脇や目のくぼみは、小さくちぎった紙を押し込むようにして張ります。
  4. 層ごとに紙の種類を変えます。新聞紙の層と白い紙の層を交互にすると、いま何層目を張っているかが色でわかり、張り残しも見つけやすくなります。
  5. 5〜8層を目安に張り重ねます。3〜4層ごとに手を止めて、数時間乾かしてから次を張ると、厚くなっても中まで乾きます。
  6. 最後の層は白い紙で仕上げます。表面が白いと、あとの下地が少なく済みます。

乾かして型から外す

  1. 風通しのよい日陰で2〜3日乾かします。
  2. 完全に乾いたら、お面の縁に指をかけ、少しずつ浮かしながら型から持ち上げます。張り付いて動かないところは、へらを縁から差し込んで浮かします。
  3. 外したお面の内側に残ったラップをはがします。
  4. 型の縁の余白の部分を、はさみやカッターで顔の輪郭に沿って切りそろえます。
  5. 目の位置に印を付けて、目の穴を開けます。鼻の穴の前にも小さな穴を開けると、息がこもりません。
  6. こめかみのあたりの左右にパンチで穴を開け、ゴムひもか紐を通して結びます。

外したあとの油粘土は、ラップに守られているので、そのまま丸めて次の型に使えます。同じ型で何枚も張れば、同じ顔のお面を色違いで作ることもできます。

乾燥時間の目安と、乾いたかどうかの見分け方

全体が乾くまでの目安は2〜3日です。天気がよく風通しのよい日なら早く乾き、梅雨どきや冬の室内では長くかかります。房総張子の工房も、ドライヤーやストーブではなく、太陽と風で乾かしています。

見た目だけでは判断できません。表面が乾いていても、型に接している内側の層には水分が残っていることがあります。確かめ方は二つあります。一つは触ったときの温度で、湿っている部分はひんやりと冷たく感じます。もう一つは叩いたときの音で、乾いた張り子は指で弾くと軽く硬い音がします。

乾燥を早めたいときは、扇風機の風を当てるのが安全です。温風を1か所に当て続けると、表面だけが先に乾いて反り、ひびの原因になります。

失敗しやすいところ

いちばん多いのは、厚みのむらです。紙を重ねる場所が偏ると、薄い部分から凹んだり、型から外すときにそこから裂けたりします。層ごとに、光に透かして薄い場所がないかを見ると防げます。

次に多いのが、生乾きのまま型から外すことです。乾ききらないうちに外すと、自分の重さで形がゆがみます。張り子の糊は、完全に乾く前に塗装するとカビが出ます。でんぷん糊はとくにカビやすいので、塗る前にもう1日待つくらいがちょうどいいです。

型の形が原因の失敗もあります。鼻を高く突き出させたり、目のくぼみを深く掘ったりすると、紙がそこに食い込んで外れにくくなります。無理に引きはがすと、その部分から裂けます。型は、紙を張る前に一度「このまま真上に持ち上げて外れるか」を考えて、引っかかる形を直しておきます。

型から外すときに裂けてしまったら、裂けた部分の内側に糊を付けた紙を張って補強し、もう一度乾かしてから仕上げに進みます。

下地と彩色で仕上がりを整える

伝統的な張り子では、貝殻を粉にした胡粉を、動物の皮や骨から取る膠で溶いて下地に塗ります。家庭では、画材として売られている白の下地剤で代用できます。

  1. 表面の毛羽立ちや段差を、紙やすりで軽くならします。削りすぎると紙の層が薄くなるので、なでる程度にします。
  2. 下地を平筆で薄く塗ります。一度に厚く塗るとひびが入るので、乾かしながら2〜3回に分けます。
  3. 下地が乾いたら、鉛筆で顔の下描きをします。
  4. アクリル絵の具で彩色します。広い面から塗り、目や眉などの細部は最後に描きます。
  5. 表面を守りたいときは、絵の具が乾いてから透明のニスを塗ります。

内側は塗らなくても構いませんが、紙の端がめくれているときは、糊で押さえてから白い紙を1枚張っておくと、かぶったときに肌に引っかかりません。

風船を使う簡易な方法

保育園や家庭の工作では、粘土の型の代わりに、ふくらませたゴム風船に紙を張る方法も使われます。紙の張り方と乾かし方は粘土型と同じで、乾いたら風船の結び目を切ってしぼませ、引き抜きます。

型を作る手間がかからないのが利点ですが、形は丸いまま、額や鼻、顎の起伏は出せません。ゴム風船は日にちが経つと少しずつしぼむので、乾燥に日数をかけるほど紙の内側で縮み、お面がゆがみやすくなります。小さな子どもと短い時間で作るときの方法と考えておくのがよいでしょう。

動画で見る:最小限の材料で作る張り子のお面(天ノ屋)
動画で見る:半紙と粘土で作る鬼の面(ハリコアソビ)

よくある質問

型にする粘土は、油粘土と紙粘土のどちらがいいですか

何度も使うなら、固まらない油粘土が便利です。ラップで覆えば汚れず、外したあと丸めて次の型に使えます。紙粘土は乾くと固くなるので、一度作った型を長く取っておき、同じ形のお面を何枚も張りたいときに向きます。

紙は何層くらい張ればいいですか

かぶって遊ぶなら5層ほど、飾ったり長く使ったりするなら8層ほどが目安です。層を増やすと丈夫になりますが、そのぶん乾燥に時間がかかります。

でんぷん糊と木工用ボンド、どちらがいいですか

でんぷん糊は、伝統的な張り子の小麦粉糊やでんぷん糊に近く、紙がなじみやすい反面、カビやすい性質があります。水で薄めた木工用ボンドは、乾くと硬く仕上がります。子どもと作るなら、手に付いても洗い流しやすいでんぷん糊が扱いやすいです。

型から外れません

まず、内側まで完全に乾いているかを確かめてください。乾いていれば、縁から少しずつへらを差し込み、全体を浮かしてから持ち上げます。鼻や目のくぼみで引っかかっているときは、無理に引かず、その周りから浮かします。次に作るときは、型の起伏をなだらかにしておくと外れやすくなります。

仮面屋おもての店内

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