コスプレ用の仮面は、目元だけなら厚紙かEVAフォーム(発泡ゴムのような柔らかい樹脂の板)で、顔全体なら型紙を分割して組み立てる方法で作れます。どちらも、型紙を起こし、切って曲げ、下地を作ってから塗り、ゴムや紐で固定する、という順番は同じです。
見栄えのよい仮面が、そのまま着けやすい仮面とは限りません。撮影の数分なら我慢できても、イベントで何時間も着けると、鼻に食い込む重さや、目の穴の狭さがじわじわ効いてきます。形を作る段階から、重さと視界を設計に入れておく必要があります。
目元の仮面と顔全体の仮面、素材はどう選ぶか
目元の仮面は、目の周りと眉間を覆う小さな仮面です。仮面舞踏会で着けるような形です。面積が小さいので、厚紙でもEVAフォームでも作れます。顔全体の仮面は額から顎までを覆うため、曲面の作り方と重さの配分が問題になります。
| 比べる点 | 厚紙 | EVAフォーム |
|---|---|---|
| 手に入りやすさ | 文具店で買える | 手芸店や工具店で買える |
| 曲げ方 | 指でしごく、切り込みを入れる | ドライヤーやヒートガンで温めて曲げる |
| 丈夫さ | 汗や雨に弱い | 水に強く、つぶれても戻る |
| 肌あたり | 硬い | 柔らかい |
| 向いている仮面 | 目元の仮面、試作 | 目元の仮面、顔全体の仮面 |
EVAフォームは、熱を加えると柔らかくなり、冷えるとその形で固まる性質を持っています。軽くて弾力があり、水にも強いので、顔に着けて長く過ごす仮面に向いています。
型紙の取り方
型紙の取り方は二つあります。平らな紙に寸法から起こす方法と、立体の頭から型を写し取る方法です。
目元の仮面なら、寸法から起こすだけで足ります。産業技術総合研究所が公開している人体寸法データベース(1991〜92年に18〜29歳の日本人を計測)では、左右の瞳の中心の間隔は平均で男性61.9mm、女性59.5mm、頬骨のあたりの顔の幅は男性146.5mm、女性139.0mmでした。ただし個人差が大きいので、実際には鏡の前で自分の瞳の間隔を測ります。
- 紙を縦に二つ折りにし、折り目を顔の中心線にします。
- 折り目から瞳の間隔の半分の位置に、目の穴の中心を取ります。
- 目の穴は、キャラクターの目の形より一回り大きく描きます。視界のための穴と、見た目の目の形は、あとで分けて作れます。
- 片側の外形を描き、折ったまま切り抜いて開きます。
- 顔に当てて、目の穴と鼻の当たり方を確かめます。
顔全体の仮面は、立体から型を写し取るほうが確実です。発泡スチロールの頭部型か、自分の顔の型を使います。頭部型を食品用のラップで包み、その上にマスキングテープを隙間なく貼り重ねます。テープの上に仮面の輪郭と、曲面を分けるための切り分け線を描き、線に沿って切り開くと、平らに広げられる型紙になります。曲がりの強い額や頬は、細かく分けるほど平らに広げやすくなります。
自分の顔で型を取るなら、手伝ってくれる人と二人で行います。鼻と口はラップでもテープでも覆わず、必ず空けておきます。目を閉じたまま数分で終わらせ、息苦しさを感じたらすぐに外します。
型紙はA4で印刷できます。印刷するときは「実際のサイズ(100%)」を選び、10cmの目盛りが10cmになっているか定規で確かめてください。
EVAフォームで目元の仮面を作る手順
- 厚さ2〜5mmのEVAフォームを用意します。目元の仮面の本体は5mm、細かい飾りは2mmが扱いやすい厚さです。

EVAフォーム用の目元の仮面の型紙。PDFは記事内のリンクからダウンロードできます - 型紙をペンで写し、新しい刃のカッターで切ります。刃をフォームに対して垂直に立て、一度で切り抜きます。何度もなぞると、切り口が波打ちます。
- 目の穴を切り抜き、縁の角を丸く整えます。
- ドライヤーかヒートガンで温め、柔らかくなったら顔の形の型や自分の手に沿わせて曲げ、冷めるまで押さえます。一点に熱を集めず、曲げたい範囲全体を動かしながら均一に温めます。作業は換気のよい場所で行い、ヒートガンの吹き出し口は使った直後も触りません。
- 飾りの部品を貼ります。EVAフォームには、ゴム系の接着剤が向いています。貼る両面に薄く塗り、指で触ってもべたつかない程度まで乾かしてから、位置を合わせて押し付けます。
- 表面を下地で塞ぎます。EVAフォームは塗料をスポンジのように吸うので、水で1対1に薄めた木工用ボンドか、柔軟性のあるプライマーを1〜2回塗ります。
- アクリル絵の具やスプレー塗料で塗装します。
下地を省くと、塗料が吸い込まれて色むらになり、曲げたところから塗膜が割れます。EVAフォームは柔らかく、着け外しのたびに少しずつ曲がるからです。下地には、硬く固まるものより、曲げてもついてくるものを選びます。
厚紙の仮面も、塗る前の下地で仕上がりが変わります。水気の多い塗料は紙を波打たせるので、薄めた木工用ボンドを一度塗って乾かし、紙の表面を固めてから色を重ねます。どちらの素材でも、厚塗りを一度するより、薄塗りを乾かしながら重ねるほうが均一に仕上がります。
肌に当たる裏側は、塗らずに素材のままにしておきます。汗で塗料が溶けて肌に付くのを防ぐためです。
ゴムや紐の固定方法
固定の方法は、仮面の大きさで変えます。
- 目元の仮面:左右の端、目の高さに紐かリボンを付け、頭の後ろで結びます。結ぶ位置を変えれば、締め具合をその場で調整できます。平ゴムを使う場合は、頭の後ろに回して長さを決めてから固定します。
- 顔全体の仮面:目の高さに横に一本、額の上から頭のてっぺんを越えて後ろへもう一本、の二本で支えます。一本だけだと、仮面の重さが前に傾いて鼻に乗ります。
EVAフォームにゴムを付けるときは、フォームに穴を開けて通すだけにしません。引っぱられた穴が裂けるからです。ゴムの端を仮面の裏に置き、同じEVAフォームの小片をかぶせて挟み込むように接着すると、力が面で受け止められます。厚紙の場合は、穴の周りに裏からテープを貼って補強します。長さを調整したいなら、ゴムの途中に面ファスナーを挟むと着け外しも楽になります。
長時間着けても疲れないために
疲れの原因は、ほとんどが重さの偏りと視界の狭さです。
重さは、飾りを足すたびに増えます。仮面の前面に重い飾りが集まると、固定のゴムを締めても鼻の付け根に重さが乗ります。飾りはできるだけ軽い素材で作り、重いものは仮面の上辺か、頭に回す固定具の側に寄せます。
顔との間に隙間を作ることも効きます。仮面の裏の額と頬骨の位置に、厚さ5mmほどのスポンジやEVAフォームの小片を貼ると、仮面が顔から浮き、まつげが当たらなくなります。空気も通るので、蒸れや汗が減ります。
視界は、目の穴の大きさでほぼ決まります。キャラクターの目の形が細いときでも、視界のための穴は大きく開けておき、見た目の目の形は表側に貼る部品で作ります。目元を隠したいキャラクターなら、目の穴の裏から黒く薄いメッシュの布を貼ると、外からは目が見えにくく、内側からは前が見えます。
顔全体の仮面なら、鼻と口の前に目立たない通気の穴を開けます。それでも、数時間着け続ければ誰でも疲れます。休憩のたびに外せるよう、着け外しの手順を簡単にしておくことも設計の一部です。
紙工作キットを組んで塗り替える方法
型紙から起こす時間がないときは、既製の紙工作の仮面キットを組み立てて、キャラクターの色に塗り替える方法があります。当店でも紙工作の仮面キットを扱っています。組み立てたあとに、薄めた木工用ボンドを表面に塗って紙を固め、乾いてからアクリル絵の具で塗り重ねると、水分で紙が波打ちにくくなります。固定のゴムと裏のスポンジは、この記事の方法をそのまま使えます。
よくある質問
コスプレの仮面を一番簡単に作るにはどうすればいいですか
厚紙で目元の仮面を作るのが最も簡単です。紙を二つ折りにして片側を描き、目の穴を開けて、左右に紐を付ければ形になります。まず厚紙で形を決め、気に入ったらその型紙でEVAフォーム版を作ると、失敗が少なくなります。
ヒートガンがなくてもEVAフォームは曲げられますか
薄いフォームなら、ドライヤーの温風でも曲げられます。厚いフォームは温まるまで時間がかかるので、近づけすぎないようにして、全体をゆっくり温めます。
メガネをかけたまま仮面を着けられますか
目元の仮面なら、仮面の裏に厚めのスポンジを貼って顔から浮かせれば、メガネの上から着けられることが多いです。顔全体の仮面では、つるが通る切り欠きを側面に作っておきます。
仮面の中が曇ったり蒸れたりします
顔と仮面の間に隙間が足りません。額と頬骨にスポンジを貼って仮面を浮かせ、鼻と口の前に通気の穴を開けると、空気が抜けて改善します。

仮面屋おもてで実物を見る
紙工作(ペーパークラフト)の仮面キットも扱っています。店頭の面はすべて試着でき、着けたまま写真を撮っていただいても構いません。
- 場所 東京都墨田区京島3-20-5(キラキラ橘商店街)/京成曳舟駅から徒歩(道順)
- 営業 土日のみ 13:00〜18:00
- 通販 遠方の方は国内向けオンラインストアから
