なまはげのお面の種類と本物の面、行事の面と土産の面はどう違う?の写真

なまはげのお面の種類と本物の面、行事の面と土産の面はどう違う?

なまはげのお面に、決まった一つの形はありません。秋田県男鹿半島のナマハゲ行事で使われる本物の面は、集落ごとに素材も顔つきも違います。木彫りの面もあれば、木の皮やザルに紙を貼って作った面もあります。お土産として売られる面は、こうした行事の面とは作られる目的が別のものです。

ナマハゲは、大晦日の晩に男鹿半島の全域で行われる行事です。男鹿市は、ナマハゲを「怠け心を戒め、家の厄を祓い、無病息災、田畑の実り、山の幸、海の幸をもたらす来訪神」と説明しています。見た目から鬼と混同されがちですが、地元では年の節目に訪れる神として迎えられてきました。

ここでは、行事の流れ、面の種類と地区ごとの違い、ユネスコ無形文化遺産としての位置づけ、そして本物の面を見られる場所とお土産の面の違いを順に説明します。

ナマハゲはどんな行事か

ナマハゲという名前は、冬に囲炉裏にあたってばかりいると手足にできる火斑を、方言で「ナモミ」と呼ぶことに由来すると言われています。ナモミを剥ぐ「ナモミハギ」が縮まって、ナマハゲになったという説明です。怠けて火のそばから離れない者を戒める、という行事の性格がそのまま名前に表れています。

行事の進め方は地区によって違います。秋田県が紹介している男鹿中地区の例では、次のように進みます。

  1. 大晦日の夕方、ナマハゲ役がワラで作った衣装「ケ」を身に着ける。
  2. 神社で神事を行い、家々を回りに出る。
  3. 先立ち(家に入ってよいか許可を取る役)が、「ナマハゲきたども入っていいか」と確かめる。
  4. 家に入り、子どもの名前を呼びながら声をかける。
  5. 家の人のもてなしを受け、次の家へ向かう。
  6. 最後の家に関係者全員が上がって、行事を終える。

このワラの衣装は、蓑(みの)の一種と説明されることが多いものの、現地ではケデ、ケンデ、ケダシなどと呼ぶ、この行事に特有の衣装です。面と同じく、衣装も集落の中で作られ、受け継がれてきました。男鹿のナマハゲは、1978年(昭和53年)5月22日に国の重要無形民俗文化財に指定されました。

ナマハゲ
ナマハゲ。写真: Aomorikuma, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

なまはげのお面の種類は集落ごとに違う

男鹿市の説明によれば、ナマハゲは地区ごとに面、衣装、持ち物、所作が異なることが大きな特徴です。男鹿半島・大潟ジオパークの解説も、行事を行う集落の立地や産業に合わせて、面の材質や顔、持ち物、細部の伝統が異なると書いています。

素材の違いを整理すると、次のようになります。

作り方 特徴
木彫り 木を彫って作る面。古くからの素材の一つ
木の皮 木の皮を使って作る面
ザルに紙を貼る 竹ザルを台にして紙を貼り重ねた張り子の面
ボール紙 近年になって使われるようになった素材

面の色については、もとは丹色(赤)に塗ったものが主だったという記述があります。赤い面と青い面の一対にそろえる形もあり、その場合は赤い面をジジナマハゲ、青い面をババナマハゲと呼びます。

ナマハゲの起源にも複数の伝説があります。なかでも知られているのが、中国の漢の武帝が海を渡って男鹿に五匹の鬼を連れてきたという話です。ナマハゲを真山や本山の神々の使者とする信仰もあり、ほかに神の化身とする見方や、山から下りてくる修験者と結びつける見方もあります。どの由来を重んじるかによって、地区ごとの顔立ちも変わってきます。

ユネスコ無形文化遺産「来訪神:仮面・仮装の神々」

男鹿のナマハゲは、2018年11月29日、「来訪神:仮面・仮装の神々」の一つとしてユネスコ無形文化遺産に登録されました。モーリシャスのポートルイスで開かれた、無形文化遺産保護条約の第13回政府間委員会で決まったものです。

文化遺産オンラインは、来訪神を、仮面や仮装の異形の姿をしたものが正月などに家々を訪れ、新たな年を迎えるにあたって怠け者を戒めたり、人々に幸や福をもたらしたりする年中行事と説明しています。この登録は、2009年に登録された「甑島のトシドン」を拡張する形で行われ、国の重要無形民俗文化財に指定されている次の10件で構成されています。

  • 甑島のトシドン(鹿児島県)
  • 男鹿のナマハゲ(秋田県)
  • 能登のアマメハギ(石川県)
  • 宮古島のパーントゥ(沖縄県)
  • 遊佐の小正月行事(山形県)
  • 米川の水かぶり(宮城県)
  • 見島のカセドリ(佐賀県)
  • 吉浜のスネカ(岩手県)
  • 薩摩硫黄島のメンドン(鹿児島県)
  • 悪石島のボゼ(鹿児島県)

どの行事も、仮面や仮装で神に扮した人が家々を訪れる点で共通しています。ナマハゲの面も、この「神の顔」として受け継がれてきたものです。

本物のナマハゲの面を見られる場所

行事は大晦日の夜に各集落で行われるため、観光客が本番を目にする機会は多くありません。行事で実際に使われた面を見たいなら、男鹿市の「なまはげ館」が確実です。男鹿市内の各地で実際に使われていた150枚を超えるナマハゲの面が展示されており、集落ごとの素材や表情の違いを一度に見比べられます。

隣の「男鹿真山伝承館」は、男鹿地方に典型的な曲屋(まがりや)の民家で、国の登録文化財です。ここでは、真山地区の大晦日のナマハゲ行事を再現する学習講座が行われています。真山地区のナマハゲは、古い伝統としきたりを厳粛に受け継いでいることで知られます。また毎年2月の第2金曜日から日曜日までは、真山神社の境内で「なまはげ柴灯(せど)まつり」が開かれます。神事と民俗行事を組み合わせた、男鹿半島を代表する冬の祭りです。

お土産の面と行事で使う面の違い

行事で使うナマハゲの面は、もともと集落ごとに自分たちで作るものでした。衣装や道具も、地域の人たちが話し合って形や色を決めてきました。大晦日の行事が終わると面は大切にしまわれ、地域の外に出ることはありませんでした。

ナマハゲが観光の場で知られるようになると、ナマハゲの面を専門に彫る職人が現れます。現在は、集落が行事用の面を職人に注文することもあれば、飾りとして面を買い求める人も多くいます。販売用の面は、行事の面を手本にしながらも、家に飾る人が受け入れやすいように表情を整えて作られることがあります。

つまり、お土産の面は「ナマハゲの姿を写した飾り」であり、行事の面は「その集落の神の顔」です。見た目が似ていても、面が担っている役目が違います。

よくある質問

行事で使われている本物のなまはげの面は買えますか?

行事の面は、各集落が行事のために用意し、受け継いでいるものです。実際に使われた面を見るなら、150枚を超える面を展示している男鹿市のなまはげ館が確実です。飾り用として売られている面は、行事の面とは別に作られたものです。

なまはげは鬼ですか?

男鹿市はナマハゲを、怠け心を戒め、家の厄を祓い、実りや幸をもたらす来訪神と説明しています。姿から鬼と呼ばれることもありますが、地元では年の節目に訪れる神として迎えられてきました。

なまはげの面は、なぜ赤と青があるのですか?

面を赤と青の一対にそろえる形があり、その場合は赤い面をジジナマハゲ、青い面をババナマハゲと呼びます。ただし面の形や色は地区ごとに違い、すべての集落が赤と青の組み合わせを使うわけではありません。

なまはげの行事はいつ見られますか?

本来の行事は大晦日の夜に行われます。本番に立ち会う機会は限られますが、男鹿真山伝承館では真山地区の行事の再現を見られ、毎年2月には真山神社でなまはげ柴灯まつりが開かれます。

仮面屋おもての店内

仮面屋おもてで実物を見る

日本の面から現代の作家の一点物まで、さまざまな仮面を並べています。店頭の面はすべて試着でき、着けたまま写真を撮っていただいても構いません。

  • 場所 東京都墨田区京島3-20-5(キラキラ橘商店街)/京成曳舟駅から徒歩(道順)
  • 営業 土日のみ 13:00〜18:00
  • 通販 遠方の方は国内向けオンラインストアから

参考にした資料