お祭りのお面の種類と値段|屋台の面と昔ながらの面の違いの写真

お祭りのお面の種類と値段|屋台の面と昔ながらの面の違い

お祭りのお面は、大きく二つに分かれます。屋台で売られる、アニメや特撮のキャラクターを写したプラスチックのお面と、狐、ひょっとこ、おかめ、天狗のように、祭りや芸能の中で役を持ってきた昔ながらの面です。値段の目安は、屋台のお面が1,000円ほど、産地の工房で作られる張子の面が1,400円(税別)からです。

屋台の値段は、元露天商の落語家が2023年のラジオ番組で「僕が売ってた時500円だったのが、今1000円」と話したものです。張子の面の値段は、福島県郡山市の高柴デコ屋敷にある工房の案内に載っているものです。同じ「お祭りのお面」でも、素材と作り方、どこから来た顔なのかが違えば、値段の付き方も変わります。

玩具のお面を箱に入れて並べた店頭の一角
玩具のお面を箱に入れて並べた店頭の一角。

屋台のお面と昔ながらのお面の違い

まず、祭りで見かけるお面を素材と題材で分けると、次のようになります。

種類 主な素材 主な題材 手に入る場所
屋台のお面 塩化ビニールなどのプラスチック(かつてはセルロイド) アニメや特撮、ゲームのキャラクター。狐やひょっとこも並ぶ 縁日の屋台、おもちゃ屋
張子の面 和紙を型に貼り重ね、乾かしてから彩色 狐、ひょっとこ、おかめ、鬼、神楽の役柄 産地の工房、土産物店、郷土玩具の店
木彫りの面 ヒノキなどの木に彩色 能面、狂言面、神楽面 面打ちや作家の工房、専門店

屋台のお面は、子どもが買って遊ぶための玩具です。張子や木彫りの面は、神楽や踊り、能狂言で人が着けて演じるための道具が出発点です。島根の石見神楽の面のように、舞台で使う面が、新築や開店祝いの魔よけや室内の飾りとして求められるようになった例もあります。

セルロイドのお面の歴史

露天商をしていた落語家は、屋台のお面を「セル面」と呼んでいます。セルロイドで作られていた時代の名残です。

セルロイドは、熱を加えると簡単に形を変えられ、色もつけやすく、大量に作れる合成樹脂です。日本では大正初期から昭和40年代にかけて、日用品や玩具の材料として広く使われました。東京の葛飾区には四つ木や立石を中心に多くのセルロイド玩具の工場があり、昭和2年には日本のセルロイド玩具の生産数が世界一になっています。

お面の収集家の記録によると、昭和30年代のお面はセルロイド製で、町の小さな工場で一枚ずつ手で色を塗って作られていました。キャラクターの版権への意識もまだ薄く、正規品とは少し違う顔のお面が多かったといいます。

転機になったのは、セルロイドの燃えやすさです。セルロイドは170℃を超えると発火し、火災の原因にもなりました。昭和20年代の後半には、この燃えやすさを理由にアメリカへの輸出が減り、葛飾のセルロイド玩具工場も廃業に追い込まれていきます。お面の素材は、昭和40年ごろからセルロイドより割れにくい塩化ビニールへ移り、手塗りも機械による塗装に変わりました。最近は、ポリプロピレンやPETのお面も見かけるようになっています。

昔ながらの図柄の狐面(左)と、張り子の面(右)昔ながらの図柄の狐面(左)と、張り子の面(右)
昔ながらの図柄の狐面(左)と、張り子の面(右)。

狐、ひょっとこ、おかめ、天狗の由来

屋台でもキャラクターのお面に交じって並ぶ昔ながらの顔には、それぞれ祭りや芸能の中での役があります。

狐

稲荷の神の使いです。京都の伏見稲荷大社は、稲荷大神のお使いを狐とし、目に見えない存在なので白い狐として「びゃっこさん」と呼んで敬っています。張子の狐面は、江戸時代に流行した稲荷神社の初午祭りをきっかけに生まれ、東北から九州まで各地で作られてきました。東京の王子では、大晦日に狐の面をかぶったり狐の化粧をしたりした人たちが、王子稲荷を目指して歩く「狐の行列」が続いています。

ひょっとこ

火吹き竹で火を吹くときのように口をとがらせ、片方の目が小さい男の面です。名前は「火男」がなまったものという説が辞典に載っていて、火男を東北地方のかまど神とする資料もあります。里神楽では「もどき」と呼ばれる道化の役を務め、福島県郡山市の高柴デコ屋敷には、踊るために作られた口元の開いたひょっとこの半面が伝わっています。

おかめ

丸い頬の女の面で、おたふくとも呼ばれます。名前の由来として、両頬の張り出した形が瓶(かめ)に似ているから、という説があります。神話で岩戸の前で舞った天鈿女命(あめのうずめ)の別の呼び名として使われたという資料もあります。

天狗

祭りの神輿の行列では、先頭に天狗の面をかけた猿田彦が立つことがよくあります。猿田彦は、天孫が地上に降りるときに道案内をした神で、長い鼻を持つ姿で記紀に記されていることから、天狗とも見なされるようになりました。神輿の渡御の行列は、先頭に先導役の猿田彦が立ち、そのあとに御幣や笠鉾、獅子、幟、太鼓などが続いて、最後に神輿がくる並びが多く見られます。

お祭りのお面の値段の目安

値段は、出典が金額をはっきり書いているものだけを挙げます。

種類 値段 出典の中身
屋台のキャラクターのお面 500〜1,000円 元露天商の落語家が2023年のラジオ番組で、売っていた当時は500円、今は1,000円と話したもの
張子の面(福島県郡山市、高柴デコ屋敷の工房) 1,400円から(税別) 工房の案内による。商品や大きさで値段は変わる

木彫りの能面や神楽面、現代の作家が作る一点物の面は、作り手や大きさ、材料によって値段の開きが大きく、確かな相場を示す資料は見つかりませんでした。ここでは幅を示していません。

屋台のお面の1,000円と、張子の面の1,400円からという値段は、数字だけ見ると近く見えます。違いは作り方にあります。屋台のお面は型で大量に作るプラスチックの製品で、張子の面は、型に和紙を一枚ずつ貼り重ね、乾かしてから職人が顔を描き入れるものです。同じ狐面でも、張子の面は一つずつ表情が少しずつ違います。

お祭りで使うなら、どちらを選ぶか

その日に着けて遊ぶなら、軽くて汗や多少の雨にも強い屋台のプラスチックのお面が気楽です。張子の面も軽いのですが、紙なので水には弱く、雨の日や汗をかく日の長時間の着用には向きません。どちらのお面も、顔に着けると足元が見えにくくなります。人混みを歩くあいだは頭の横に回しておき、写真を撮るときだけ顔に着けると安全です。

祭りのあとも手元に置いて飾りたいなら、張子や木彫りの面が向いています。顔が一つずつ違う面の中から、自分の好きな表情を選べます。店頭でいちばんよく手に取られるのも狐面で、祭りの屋台で見慣れた顔が、そのまま工芸品の面選びの入り口になっています。

よくある質問

お祭りの屋台のお面はいくらですか?

元露天商の落語家が2023年に話したところでは、以前500円だったものが今は1,000円です。屋台や地域によって値段は違います。

屋台のお面は何でできていますか?

昭和40年ごろから塩化ビニールが中心になり、最近はポリプロピレンやPETのお面も見られます。それ以前はセルロイドで作られていました。

セルロイドのお面は今も手に入りますか?

新しく作られているかどうかは、確認できませんでした。東京都足立区の資料によると、セルロイド玩具を作る製作所は今では一軒だけで、昔の金型を使って人形の復刻を続けています。昭和のセルロイドのお面は、収集家のあいだで集められています。

お祭りで狐のお面をかぶるのはなぜですか?

狐が稲荷の神の使いとされ、張子の狐面が稲荷神社の初午祭りをきっかけに広まったことが背景にあります。王子の狐の行列のように、狐に扮して歩くこと自体が行事になっている祭りもあります。

仮面屋おもての店内

仮面屋おもてで実物を見る

店頭でいちばんよく手に取られるのが狐面です。店頭の面はすべて試着でき、着けたまま写真を撮っていただいても構いません。

  • 場所 東京都墨田区京島3-20-5(キラキラ橘商店街)/京成曳舟駅から徒歩(道順)
  • 営業 土日のみ 13:00〜18:00
  • 通販 遠方の方は国内向けオンラインストアから

参考にした資料