お面の飾り方|壁に掛ける、棚に立てる、傷めない置き場所の写真

お面の飾り方|壁に掛ける、棚に立てる、傷めない置き場所

お面の飾り方は、壁に掛けるか、棚や台に立てるかの二つが基本です。壁なら面の紐穴に紐を通してフックや釘に掛け、棚なら面立てや小さな台に立てかけます。どちらの場合も、直射日光と湿気、ほこりを避けられる場所を選ぶと、面が長持ちします。

面は人の顔と同じ大きさをしているので、部屋のどこに置いても目を引きます。狐面ひとつでも般若の面でも、掛ける高さや角度、背景を少し変えるだけで、同じ面が穏やかにも険しくも見えます。

仮面屋おもての壁
仮面屋おもての壁。面を一枚ずつ、間隔をそろえて掛けています。

壁に掛ける方法

多くのお面には、こめかみのあたりに紐を通す穴があります。能面も、面の横の穴に面紐を通して頭に留めます。壁に飾るときは、この穴を使います。

  1. 左右の紐穴に紐を通し、面の裏側で一本の輪になるように結びます。着けるための紐が付いている面なら、その紐を使えます。
  2. 輪のいちばん上が、面の上の縁より少し下にくる長さに調整します。輪が長すぎると、面が前に倒れて下を向きます。
  3. 壁にフックや釘を付けます。石膏ボードの壁なら、細いピンを斜めに刺して留める石膏ボード用のフックが使えます。
  4. 紐の輪をフックに掛け、面の裏が壁に沿っているかを横から確かめます。

紐穴のない面や、穴に紐を通したくない面は、面の下の縁を受ける小さな飾り棚や、面を掛けるための専用の金具を使います。額に入れて飾る方法もありますが、面の厚みが収まる奥行きの深い額が必要です。

掛ける高さは、面の目が、立った人の目の高さか少し上にくる位置が落ち着きます。能では、面をやや上に向けることを「テラス」、やや下に向けることを「クモラス」と呼び、テラスは喜びなど晴れやかな心、クモラスは悲しみなど抑えた心を表すのに使われます。壁の面も同じで、見上げる位置に高く掛けたり、紐を長くして面をうつむかせたりすると、表情が沈んで見えます。紐の長さと掛ける高さで、面の顔つきを選べるということです。

棚に並べた面
棚に並べた面。台に立てると、正面だけでなく横顔も見せられます。

棚や台に立てて飾る方法

棚に置くなら、面を少し後ろへ傾けて立てかけるのが基本です。

  • 面立て(スタンド):面の裏側を支える脚の付いた台です。角度を変えられるものなら、表情を見ながら傾きを決められます。
  • 書見台や皿立て:面の縁を受ける溝があれば、代わりに使えます。縁が当たる部分に布を挟むと、塗りを傷めません。
  • 壁に立てかける:いちばん手軽な方法です。面の下に滑り止めを敷き、倒れても落ちない奥行きのある棚を選びます。

棚に置いた面は、地震や掃除のときに倒れやすいので、棚の手前ぎりぎりには置かないようにします。面を立てた台ごと、耐震用の粘着マットで棚に留めておくと安心です。

色や形の違う面を縦横にそろえて並べた例
色や形の違う面を縦横にそろえて並べた例。

すだれや和紙を背景にして、複数の面を並べる

白い壁に面をひとつ掛けると、面の輪郭がくっきり出ます。すだれや和紙、無地の布を背景にすると、面のまわりにひとまとまりの場ができて、床の間のような落ち着きが出ます。壁にすだれを掛け、その編み目にS字フックを掛けて面を吊るせば、壁に穴をあける数も少なくて済みます。

複数の面を並べるときは、次の三つを意識するとまとまります。

  • 高さに差をつける:同じ高さに一列に並べると、標本箱のように見えます。三つなら中央を少し高くするなど、上下に差をつけます。
  • 間隔をそろえる:面と面のあいだは、面の幅の半分ほど空けると、一つずつの顔が立ちます。
  • 性格の違う面を隣り合わせる:狐面とおかめ、般若と穏やかな女の面のように、表情の違う面を並べると、並び全体にリズムが出ます。

般若などを魔除けとして飾るときの向きと場所

面を魔除けとして家に飾る習慣は、地域によっては今も暮らしに残っています。島根県では玄関などに神楽の面を飾る家が多く、県の古代文化センターの学芸員は、魔除けや守り神のような意味で面を飾る風習があると話しています。飾られる面には、般若や天狗、スサノオ、狐などがあります。島根県も、石見神楽の面が、新築や店の開店祝いの魔よけ、縁起物、室内装飾として使われていると紹介しています。

般若は、もとは能の面です。「葵上」「道成寺」「黒塚」などで、嫉妬や恨みを抱いた女の怨霊を表します。島根で玄関に飾られる般若は、能ではなく神楽の面で、神楽の舞台で鬼や神を演じてきた面が家の守りとしても使われている、という位置づけです。

飾る向きについては、玄関の外に向ける、鬼門の方角に向けるといった話を聞くことがあります。ただ、全国に共通する決まりを示す資料は見つかりませんでした。向きや場所のこだわりは地域や家ごとに違います。家に伝わる考え方があればそれに従い、特になければ、家族が毎日目にして落ち着く場所に掛ければ十分です。

面を傷めない置き場所と手入れ

面の多くは、木や紙、布、漆や絵の具といった、光と湿気に弱い材料でできています。美術館や博物館も、同じ理由で展示の環境を細かく管理しています。東京国立博物館では温度22℃、相対湿度50〜60%を目安にしていて、光に弱い素材は照度の上限と展示期間を決め、1年のうち4週間しか展示しない作品もあります。家庭で同じ管理はできませんが、避けるものは同じです。

  • 直射日光:色あせの原因になります。窓際や、西日の当たる壁は避けます。
  • 湿気:紙の面はたわみやカビ、木の面は反りや割れの原因になります。浴室の近くや結露しやすい外壁、押し入れの奥は向きません。
  • 急な温度変化:エアコンの風が直接当たる場所や、暖房器具の真上は避けます。閉じた空間では、温度が上がると湿度が下がり、温度が下がると湿度が上がるので、温度の急な上下はそのまま湿度の上下になります。
  • ほこり:乾いた柔らかい刷毛で、上から下へ払います。濡れた布で拭くと、絵の具がはがれることがあります。

素材ごとの弱点も押さえておきます。和紙を貼り重ねた張子の面は湿気でたわみやすく、木の面は乾燥しすぎると割れやすくなります。樹脂の面は丈夫ですが、日光で色があせたり黄ばんだりします。いくつかの素材を組み合わせた面は、いちばん弱い素材に合わせて置き場所を選びます。

面を持つときは、表に指を触れず、縁や裏側を持ちます。しまっておくときは、能面の扱いが参考になります。能面は使ったあと和紙で丹念に水気を取って適度に乾かし、綿のクッションが付いた面袋に入れて桐の箱にしまいます。季節ごとの虫干しも欠かしません。家庭なら、柔らかい布で包んで箱に入れ、ときどき取り出して風を通すだけでも違います。

よくある質問

狐面を部屋に飾ってもいいですか?

飾ってかまいません。島根県で玄関などに飾られる面には、狐も含まれています。紐穴に紐を通して壁に掛けるか、面立てに立てて飾ります。

般若のお面を家に飾るのは縁起が悪いですか?

般若の面は、魔除けとして飾られることもある面です。島根県では玄関に神楽の面を飾る家が多く、般若もその一つです。怖い表情が気になるなら、玄関など人が行き来する場所に掛け、寝室のように長く過ごす部屋は避けるなど、落ち着いて暮らせる場所を選べば十分です。

お面は玄関とリビングのどちらに飾るのがいいですか?

魔除けの意味を込めるなら、島根の例のように玄関に掛けるのが素直です。眺めて楽しむなら、長く過ごすリビングが向いています。どちらに飾る場合も、先に直射日光と湿気の少ない壁を選ぶのが大切です。

飾っているお面にほこりが積もったら、どう掃除しますか?

乾いた柔らかい刷毛か筆で、上から下へ払います。水拭きや、洗剤を使った掃除はしません。ほこりが気になるなら、使わない季節は布で包んで箱にしまうほうが面は傷みません。

仮面屋おもての店内

仮面屋おもてで実物を見る

日本の面から現代の作家の一点物まで、さまざまな仮面を並べています。店頭の面はすべて試着でき、着けたまま写真を撮っていただいても構いません。

  • 場所 東京都墨田区京島3-20-5(キラキラ橘商店街)/京成曳舟駅から徒歩(道順)
  • 営業 土日のみ 13:00〜18:00
  • 通販 遠方の方は国内向けオンラインストアから

参考にした資料