仮面は、100円ショップでそろう材料だけで作れます。土台にする無地のプラスチック製の面、紙粘土か石粉粘土、アクリル絵の具、ゴム紐、紙やすり、木工用ボンドがあれば足ります。手を動かす時間は半日ほどですが、粘土と絵の具を乾かす時間が別に要るので、仕上がりまでは1週間ほど見ておくと失敗がありません。
作り方は2通りあります。一つは、プラスチックの面を土台にして、その上に粘土で鼻や眉、角などを盛り足す方法です。もう一つは、土台を使わず、顔の形をした型の上に紙粘土を薄く延ばして面そのものを作る方法です。前者は丈夫で早く、後者は形の自由がきくかわりに乾燥に日数がかかります。
どちらを選んでも、つまずくところは同じです。粘土がプラスチックから剥がれる、乾いたら割れる、絵の具が指でこすれて落ちる。この三つはどれも下地と乾燥の問題で、材料の値段とは関係がありません。順に防ぎ方を書きます。
100円ショップでそろえる材料
- 無地のプラスチック製の面(白い半面か全面のもの。土台にする場合)
- 紙粘土、または石粉粘土(盛り足しだけなら1袋、面そのものを作るなら2袋)
- アクリル絵の具(白、黒、赤、黄、青があれば大半の色を混ぜて作れます)
- 筆(平筆と細筆)、絵の具を出す皿、水入れ
- 紙やすり(180〜240番と、仕上げ用の400番前後)
- 木工用ボンド
- ゴム紐、または平ゴム
- EVAシート(軽い角や飾りを付けるとき)
- マスキングテープ、新聞紙、食品用ラップ、はさみ、カッター、目打ちか千枚通し
粘土は、紙粘土と石粉粘土のどちらでも作れます。同じ大きさで比べると、石粉粘土は紙粘土の2倍ほど重く、そのかわり乾いたあとに紙やすりで滑らかに削れます。顔に着けて動く仮面なら軽い紙粘土、飾って眺める仮面で細部まで整えたいなら石粉粘土が向いています。


方法1 プラスチックの面を土台にして粘土を盛る
市販の無地の面は、顔のカーブに合わせて成形されているので、額や頬の丸みを自分で作る必要がありません。欠けているのは表情です。鼻を高くする、眉を太く盛る、角や牙を足す。この盛り足しを粘土で行います。
問題は、粘土がプラスチックに食いつかないことです。プラスチックの表面は滑らかで水を吸わないため、粘土も絵の具も、乾くと簡単に浮いてきます。盛る前に表面を荒らす、接着剤を挟む、の2段構えで防ぎます。
- 面を中性洗剤で洗い、手の脂とほこりを落として乾かします。
- 粘土を盛る範囲と塗装する範囲の全体に、180〜240番の紙やすりをかけます。艶が消えて白っぽくなれば十分です。削り粉は固く絞った布で拭き取ります。
- 粘土を盛る位置に木工用ボンドを薄く塗り、指で触って糸を引くくらいまで乾かします。
- 粘土を少量ずつ盛り、へらや指で押さえつけながら形を作ります。厚みは1cm以内にとどめます。角や鼻のように高さが要る部分は、丸めたアルミホイルを芯にして、表面だけを粘土で覆います。
- 粘土と面の境目は、水で濡らした指でなでて段差をなくします。段差が残ると、乾いたあとに縁から剥がれます。
- 目の穴と鼻の下は、粘土で塞がないようにします。穴の縁にかかった粘土は、乾く前に竹串で取り除きます。
- 風通しのよい日陰で乾かします。表面は1日で固まりますが、芯まで乾くには3日から1週間かかります。
角のように突き出た部分は、別に作って乾かしてから木工用ボンドで接着するほうが、面の上で盛るより扱いやすいです。乾いた粘土どうしの接着も、木工用ボンドで足ります。瞬間接着剤は粘土への食いつきがかえって悪く、剥がれたときの修正もしにくくなります。
方法2 紙粘土だけで作る
土台を使わない場合は、顔のカーブをどこかから借りてきます。いちばん手軽なのは、丸めた新聞紙をマスキングテープで固め、顔より一回り小さい山を作って、食品用ラップで覆う方法です。自分の顔に直接当てて作ることはできません。粘土が乾くまで動けませんし、乾くと肌から外れなくなります。
- 新聞紙を丸めて、額から顎までの長さと顔の幅に近い大きさの山を作り、マスキングテープで固めます。鼻の位置に小さく丸めた新聞紙を足して高さを出します。
- 山全体を食品用ラップで覆います。ラップは引っぱらず、表面に沿わせて押さえます。
- 紙粘土を手のひらで押しつぶし、厚さ5〜7mmの板にします。麺棒や丸い瓶で延ばすと厚みがそろいます。
- 板を山にかぶせ、中心から外へ向かって空気を押し出しながら密着させます。足りない部分は粘土を継ぎ足し、継ぎ目を濡らした指でなでて消します。
- 目の穴は、乾く前に開けます。顔に当てられないので、鏡の前で定規を当てて自分の目の間隔を測り、山の上に印を付けてからカッターで切ります。
- 縁は顔の輪郭より1cmほど余らせて切り、乾いてから紙やすりで整えます。
- ゴム紐を通す穴は、目の高さで左右の縁から1cm以上内側に、乾く前に目打ちで開けておきます。
- 山に載せたまま乾かします。表面が固まったら(1日が目安)そっと山から外し、裏返して内側も乾かします。全体で1週間ほどかかります。
厚さを5〜7mmにするのは、薄いほど早く乾き、割れにくいからです。ただし3mmを切ると、乾いたあとに縁が欠けやすくなります。厚みをそろえることのほうが、形を整えることより先です。
粘土を乾かす日数と、ひび割れを防ぐコツ
紙粘土は、1日で表面が固まり、芯まで乾くには3日から1週間ほどかかります。厚みが1cmを超えるなら、さらに余裕を見て1週間置くのが安全です。乾いたかどうかは、裏側を触って冷たさが消えているか、爪で押してへこまないかで判断します。
ひび割れは、表面と内側の乾く速さの差で起きます。表面だけが先に乾いて縮み、まだ湿っている内側に引っぱられて裂けます。急ぐためにドライヤーの熱風を当てたり、直射日光に置いたりすると、この差が大きくなって割れやすくなります。風通しのよい日陰に、網や割り箸を敷いて底を浮かせて置くのがいちばん確実です。
割れてしまったら、割れ目に水で柔らかくした粘土を押し込み、濡らした布で覆ってゆっくり乾かします。乾いてから紙やすりで平らにすれば、塗装のあとはわかりません。


塗装の手順と乾燥時間
アクリル絵の具は乾くと耐水性になり、上から重ね塗りができます。厄介なのはプラスチックの上だけです。粘土の部分は水を吸うので絵の具がよく付きますが、やすりをかけていないプラスチックの上では、乾いたあとに爪で引っかくと剥がれます。
- 粘土が完全に乾いたことを確かめ、400番前後の紙やすりで表面をならして、粉を払います。
- 面全体に白のアクリル絵の具を薄く塗り、下地にします。プラスチックと粘土の色の差が消え、上に塗る色が均一になります。
- 下地が乾いてから(薄塗りなら30分が目安)、色を塗ります。一度に厚く塗らず、薄く2〜3回重ねます。
- 重ねるときは、下の層が乾いてからにします。筆を往復させると、半乾きの下の色が溶けて混ざります。
- 目の縁や口の線など細部は、最後に細筆で入れます。
- 全体が乾いたら、水性のニスを塗って保護します。アクリル絵の具が芯まで乾くには72時間かかるので、ニスは3日あけてからにします。
ドライヤーで乾燥を早めたいときは、冷風にするか、熱風なら30cm以上離して一箇所に当て続けないのが条件です。熱で絵の具の膜が変質すると、ひびが入ります。
プラスチック用のプライマーを下地に使えば、やすりがけなしでも絵の具が付きます。ただし100円ショップに置いていないことが多いので、この記事ではやすりと白の下地で代用しています。
EVAシートの飾りと、ゴム紐の付け方
角や耳のように大きく突き出す飾りを粘土で作ると、重くて面が前に倒れます。こういう部分はEVAシート(薄いスポンジ状の樹脂シート)で作るほうが軽く、落としても割れません。
EVAシートは、熱を加えなくても手で曲がります。熱が要るのは、丸みを固定したいときだけです。ドライヤーの温風で表面が少し艶を帯びるまで温め、丸い瓶などに押し当てて冷めるまで待つと、その形で止まります。100円ショップで売られている薄いものは熱で柔らかくなりすぎることがあるので、温めすぎず、様子を見ながら短く当てます。曲げた状態を保ちたいときは、曲げたまま2枚を重ねて貼り合わせる方法もあります。
面への接着は、接着面にやすりをかけてから木工用ボンドか多用途の接着剤を使います。塗装は粘土と同じで、白の下地を塗ってから色を重ねます。
ゴム紐の穴の位置は、目の高さで、左右の縁から1cm以上内側にします。縁ぎりぎりに開けると、ゴムを引いたときに裂けます。プラスチックの面には、熱した千枚通しか、ドリルの細い刃で開けます。粘土の面は、乾く前に目打ちで開けておき、乾いてから穴の内側に木工用ボンドを塗って固めます。
ゴムは、穴に通して結ぶだけでも留まりますが、結び目が内側に出て痛いことがあります。穴の外側で結ぶか、結び目をEVAシートの小片で覆うと当たりません。長さは、頭の周囲より少し短くして、伸ばした状態で着けます。緩いと面が下がり、きついと耳の上が痛みます。店頭で面を試着する方を見ていても、着け心地を決めるのは面の形より紐の張りです。
よくある質問
紙粘土と石粉粘土、どちらで作ればいいですか
着けて動く仮面なら紙粘土です。軽く、乾燥後の重さが石粉粘土の半分ほどで済みます。石粉粘土は乾くと硬く締まり、紙やすりや彫刻刀で細部を整えられるので、飾る仮面や、滑らかな面を出したい仮面に向いています。どちらも乾燥で1割ほど縮むので、ゴム穴の位置は少し余裕を見ておきます。
粘土がプラスチックの面から剥がれました
やすりがけが足りないか、ボンドを挟まずに盛ったかのどちらかです。剥がれた粘土は捨てずに、裏と面の両方に180番の紙やすりをかけ直し、木工用ボンドで貼り直します。貼ってから丸1日、動かさずに乾かします。境目の段差は、薄く溶いた粘土を塗って埋めます。
1日で作れますか
形を作るところまでなら1日で終わります。粘土を乾かす3日から1週間と、絵の具の重ね塗りに必要な乾燥を省くと、塗装がひび割れたり剥がれたりします。急ぐときは、粘土を使わずにEVAシートだけで飾りを作り、プラスチックの面にやすりをかけて直接塗装すれば、絵の具の乾燥だけで済むので2日で仕上がります。
子どもと一緒に作れますか
粘土を盛る工程と塗装は、小学生なら一緒にできます。やすりがけ、カッターでの穴あけ、熱した千枚通しを使う工程は大人が担当します。乾燥を待つ日数が長いので、1日目に粘土、数日後に塗装、と日を分けて取り組むと、途中で飽きずに終えられます。

仮面屋おもてで実物を見る
日本の面から現代の作家の一点物まで、さまざまな仮面を並べています。店頭の面はすべて試着でき、着けたまま写真を撮っていただいても構いません。
- 場所 東京都墨田区京島3-20-5(キラキラ橘商店街)/京成曳舟駅から徒歩(道順)
- 営業 土日のみ 13:00〜18:00
- 通販 遠方の方は国内向けオンラインストアから
