狐面の作り方 厚紙と段ボールで作る全面と半面、耳と鼻先の立て方の写真

狐面の作り方 厚紙と段ボールで作る全面と半面、耳と鼻先の立て方

狐面は、厚紙か段ボールで顔の土台を作り、耳と鼻先を別の紙で立てて貼れば、紙だけで立体に作れます。顔全体を覆う全面と、口から下を切り落とした半面は、同じ型から作れます。違いは、最後にどこで切るかだけです。

平らな紙から狐の顔が出てくるとは、最初は信じにくいかもしれません。鼻筋の折り目、頬の切り込み、別パーツの鼻先と耳。この四つを順番に足していくと、途中で急に狐の顔になります。

型に紙を貼り重ねる張り子で作る方法は、別記事「張り子のお面の作り方」にまとめてあります。ここでは乾かす日数がいらない、厚紙と段ボールの作り方だけを扱います。

絵付け前の無地の狐面。全面(左)と半面(右)絵付け前の無地の狐面。全面(左)と半面(右)
顔全体を覆う全面(左)と、目元から上を覆う半面(右)。どちらも絵付け前の無地の狐面で、耳の立ち上がりと鼻先の張り出しがよく見えます。作るときの形の参考にしてください。

全面と半面、どちらを作るか

先に決めておきたいのは、顔全体を覆う全面にするか、鼻から上だけの半面にするかです。仮面の専門店である当店でも、狐面を試着する方は顔に着けるか頭の横に掛けるかで迷うことが多いのですが、自作するときはそれより前に、どこまで覆うかで迷います。

比べる点 全面 半面
覆う範囲 額から顎まで 額から鼻先まで
口元 隠れる。飲食や会話はしにくい 出る。話せる
頭の横に掛けたとき 顔の形がはっきり出る 小ぶりでずれにくい
作りやすさ 顎まで顔に沿わせる手間がある 鼻から下を切るだけなので作業が少ない
向く場面 撮影、舞台、行列 祭り、縁日、浴衣に合わせるとき

迷うなら、まず全面の型で作っておくのが安全です。半面は、できた全面の口元を切り落とせば済みます。逆に、半面から全面には戻せません。半面にどんな意味があるかは、別記事「狐面の意味とは?」で扱っています。

用意するもの

  • 厚紙:工作用紙と呼ばれる、厚さ0.2〜0.3mmほどのもの。画用紙では薄く、立ち上げた耳が倒れます
  • 段ボール:厚さ3mm前後。土台を段ボールで作る場合と、厚紙の土台の裏を補強する場合の両方で使います
  • カッター、カッターマット、定規、はさみ、鉛筆
  • 木工用接着剤、セロハンテープ、裏の補強用のガムテープ
  • 目打ちか千枚通し(目の穴と紐の穴を開けます)
  • ゴム紐、または平ゴム
  • 白の下地剤(ジェッソ)か白の水性塗料、赤と黒のアクリル絵の具、平筆と細筆
  • 仕上げ用の水性ニス

段ボールには、曲げやすい方向と曲げにくい方向があります。中の波状の紙(中芯)が縦に走る向きに切り出すと、顔の左右の丸みが出しやすくなります。曲げにくい向きになってしまったときは、表側の紙だけにカッターで浅い切れ目を入れると曲がります。

顔の土台を立体にする手順

立体にする要素は、鼻筋の折り目と頬の切り込み、それに別パーツの鼻先と耳です。順番に進めます。

  1. 輪郭を描く。紙を顔に当て、額の生え際から顎までの長さと、顔の幅に左右1cmずつ足した幅を測ります。狐の顔は縦に細長く、頬から顎に向けて逆三角形にすぼめると狐らしく見えます。耳は輪郭に含めず、別に作ります。
  2. 鼻筋の折り目を入れる。額の中央から鼻先の位置まで、裏側から定規を当てて、カッターの刃をほんの少しだけ出して浅い切れ目を入れます。表側に向けて山折りにすると、鼻筋が通ります。切れ目は深くしないでください。貫通すると面が二つに割れます。
  3. 頬に切り込みを入れて重ねる。顎の両脇から頬の中ほどへ向けて、斜めに5〜6cmの切り込みを入れます。切り込みの両側を2〜3cm重ねて接着剤で貼ると、顎のあたりがすぼまり、面が顔に沿って丸く反ります。額の両端にも同じ切り込みを短く入れると、額の丸みも出ます。
  4. 鼻先を別パーツで作る。厚紙を細長い三角形に切り、中心で二つ折りにして稜線を作ります。折った三角形の裾を少し開いて糊しろにし、鼻筋の折り目の先端にかぶせて貼ります。土台の鼻筋と鼻先の稜線がつながると、横から見たときに鼻が前へ突き出します。
  5. 耳を立てる。厚紙で二等辺三角形を2枚切り、底辺に1.5cmほどの糊しろを付けて折ります。耳の中央に軽い折り目を縦に入れると、内側がくぼんで耳らしくなります。土台の上端、鼻筋の両脇に短い切り込みを入れ、糊しろを差し込んで、裏からテープで止めます。耳は外側へ少し開いて立てます。まっすぐ立てるより、狐の顔に見えます。
  6. 裏から補強する。段ボールを幅2cmほどの帯に切り、額の裏に横一本、鼻筋の裏に縦一本、接着剤で貼ります。厚紙だけの土台は、ここで急にしっかりします。段ボールの土台なら、頬の重ねた部分の裏にガムテープを貼るだけで足ります。

ここで一度、顔に当ててみてください。鼻筋が通り、耳が立ち、頬が丸く反っていれば、まだ白一色でも狐の顔に見えるはずです。見えなければ、たいてい鼻先の突き出しが足りません。三角形を一回り大きく作り直すと直ります。

目の穴と紐の穴の位置

目の穴は、型の段階で描き込まず、土台ができてから顔に当てて決めます。面を顔に当て、目を開けたまま、鉛筆で瞳の位置に印を付けてもらうのが確実です。一人で作るときは、瞳の間隔を測ってから印を付けます。日本人の瞳孔の間隔は、成人男性で平均64mm、成人女性で62mmほどです。子どもは小さく、3〜6歳で54〜58mm、8歳以上で59〜65mmが目安です。

狐面の目は、目尻が上がったつり目のひし形に描きますが、覗く穴そのものは直径1cmほどの小さな丸か、横長の楕円で十分です。穴を大きくすると、中の目が見えて面の表情が消えます。ひし形は穴の周りに絵で描きます。穴を開けたら、縁を裏から厚紙の小片で補強しておくと、紙がよれません。

紐の穴は、目の穴から4〜5cm外側の、やや下に開けます。目の高さより上に付けると、面が下へずり落ちます。穴の周りには裏からテープを貼ってから目打ちで開け、ゴム紐の結び目は裏側に出します。小さな面なら、輪ゴムを穴に通し、輪の中にもう一方の端をくぐらせて引けば固定できます。面がずれない着け方そのものは、別記事「狐面の付け方」にまとめてあります。

半面に仕立てる

半面は、全面の土台の口元を切り落として作ります。切る位置は、鼻先の下端から1cmほど下です。上唇に紙の縁が当たると話すたびに面が動くので、唇よりは上で切ります。

  1. 面を顔に当て、鼻の下の位置に鉛筆で印を付けます。
  2. 印から左右へ、頬の丸みに沿って緩い曲線を描きます。まっすぐ切ると、横から見たときに下端が浮きます。
  3. はさみで切り落とし、切り口の裏に厚紙の帯を貼って補強します。半面は下端が開いているので、ここが一番たわみやすい場所です。
  4. 鼻先が長すぎると顔の下半分とぶつかるので、全面より一回り短い三角形に付け替えます。

市販の無地のハーフマスクに紙粘土で耳を足して狐にする方法もあり、子ども向けの工作会でよく使われています。耳を自分で立てる工程を省けるので、低学年の子どもと作るならそちらが向いています。

白地に赤の隈取りを入れた狐面
白地に赤で目元の隈取りを入れた狐面。線を入れる位置と太さの参考になります。
狐面を目の下で切って半面にする図
半面に仕立てるときは、目の下で切り分けます。口元が出るので、着けたまま話したり飲んだりできます

白地に赤の隈取りを描く

彩色は、白を塗ってから赤を置く順番です。白の下地剤か白の水性塗料を、乾かしながら2回塗ります。1回では紙の色が透けます。絵の具に水を混ぜすぎると段ボールがたわんだり反ったりするので、水は筆先を湿らせる程度にします。

赤を置く場所は、耳の内側、額、目の周り、鼻、口の五か所が基本です。目の周りは、穴を囲むひし形を目尻へ向けて跳ね上げます。額は中央に細い一本、または左右対称の短い線を入れます。鼻は鼻先に小さく赤を差し、口は全面なら口角を少し引き上げた線を細く入れます。筆に強弱をつけて一筆で引いた線のほうが、丁寧になぞった線より狐らしく見えます。迷うときは、薄い鉛筆で下描きしてから赤を乗せてください。

模様の形に、決まった意味はありません。狐面の色や模様は作り手が決めるもので、地域や工房ごとに違います。白地に赤が定番なのは、稲荷の神使の白狐を写しているからで、黒地に金や、青の隈取りで作っても間違いではありません。細い黒で髭を3本ずつ足すと、表情が締まります。最後に水性ニスを薄く塗ると、絵の具がこすれて落ちるのを防げます。

よくある質問

段ボールと厚紙、どちらで作るのがいいですか

一度しか使わないなら厚紙、何度も着けるなら段ボールです。厚紙は切りやすく、はさみだけで作れますが、汗や雨でふやけます。段ボールは丈夫な代わりにカッターが要り、頬の丸みを出すのに切り込みを多めに入れる必要があります。厚紙の土台を段ボールの帯で裏から補強する作り方なら、両方の利点を取れます。

子どもと作るとき、カッターを使わずにできますか

できます。土台を厚紙にすれば、輪郭も切り込みもはさみで切れます。鼻筋の折り目は、カッターの代わりに定規を当てて目打ちの背で強くなぞれば付きます。目の穴は、大人が目打ちで開けてから、子どもがはさみで広げる分担にすると安全です。

絵の具を塗ったら面が反ってしまいました

水分で紙の表側だけが伸びたのが原因です。乾く前なら、裏側にも薄く水を引いて両面の伸びをそろえ、平らな場所で重しをして乾かすと戻ります。次からは下地を薄く2回に分け、裏に段ボールの帯を貼ってから塗ってください。

耳がすぐ倒れます

糊しろが短いか、紙が薄いかのどちらかです。糊しろを2cm以上とり、土台の切り込みに差し込んだうえで、裏側をテープで押さえてください。それでも倒れるなら、耳の裏に段ボールの小片を貼って厚みを足します。

仮面屋おもての店内

仮面屋おもてで実物を見る

店頭でいちばんよく手に取られるのが狐面です。店頭の面はすべて試着でき、着けたまま写真を撮っていただいても構いません。

  • 場所 東京都墨田区京島3-20-5(キラキラ橘商店街)/京成曳舟駅から徒歩(道順)
  • 営業 土日のみ 13:00〜18:00
  • 通販 遠方の方は国内向けオンラインストアから

参考にした資料